【作品分析】

 (1)主人公の性格特性

 主人公・大空翼は、幼いころ車にはねられるという事故に遭ったが、サッカーボールがクッションとなり、奇跡的に助かった。翼の母が「まるでサッカーをやるためだけに生まれてきた子」と言うように、その後「ボールはトモダチ」と言うほどのサッカー少年となる。

 翼は、第1話の時点ですでにサッカーが上手な少年だ。その上、ロベルトが「人のもつサッカー技術はすべて自分のものにしないと気がすまないヤツ」と言っているように、翼は他人のプレイを見たらすぐに実践する少年なので、上達も早い。しかし、翼がなぜそこまでサッカーが上手いかといえば、サッカーが好きだからである。

 「ボールがトモダチ」というのは、ロベルトの教えである。ロベルトは、子どもたちに「毎日いつでもどこでもサッカーボールといっしょにいるんだ」と教えた。その日の帰り道、サッカーボールを蹴りながら陸橋を駆け上る翼に、ロベルトは「翼!!サッカーは好きか〜」と大声で尋ねる。その問いに対し、翼は笑顔で「なにいってんだよ あたりまえだよ」と即答する。このように、彼はサッカーが好きで仕方がない少年なのである。また、翼のチームのゴールキーパーが、日向の強烈なシュートを受け、ボールを捕ることに恐怖を覚えたことがある。その時、翼は「ボールはともだち こわくないよ」と笑ってみせ、敵のシュートをあえて顔面に受けることで、ボールは怖くないことを証明してみせた(図3--2)

そんなキャプテンの翼を、チームメイトは尊敬と信頼の目で見ている。たとえば、修哲戦で苦戦する南葛に対し、観客が「あとひとがんばりだぞーっ」と声援を送ったとき、翼と同じチームの石崎は、「ここまでやったのはおれたちじゃねえ!」「ここまでやってきたのは翼だけじゃねえか!」と、心の中でつぶやく。石崎は、サッカーが下手だった南葛が上位まで勝ち進めたのは、すべて翼のおかげだと思っている。続いて、彼は「せめて・・・せめてこのボールをとって翼にパスしなきゃ」「おれたちはなんにもしなかったことになるんだ!」と言っており、前線にいる翼になんとかゴールを決めてもらうため、何度もパスを送ろうとする。

その石崎は、転校生の翼にとって最も古くからの仲間である。転校してきた翼が、丘の上からはるか遠く離れたグラウンドまでボールを蹴ったところを目撃して以来、彼は翼を全面的に信頼している。フランス国際Jr.ユース大会の決勝戦では、倒れて動けなくなった翼に向かって、石崎が「おれたちの夢をかなえられるのは翼 おまえしかいないんだ!!と、懸命に叫びつづけるエピソードがあった。その決勝戦では、翼は監督からも「なんというたのもしいキャプテンに成長したんだ翼・・・おまえこそまさにキャプテン翼だ・・・」と誉められている。

長年の翼のライバル・日向も、フランス国際Jr.ユース大会で同じチームになり、「どんな苦境においこまれようと あいつといっしょならなんとかなりそうな みんなでがんばりさえすればこの試合勝てそうな気にさせられるんだよ」「あの10番にはよ・・・」と言い、翼のことを認めている。さらに、翼は味方選手だけでなく、相手選手からも良きライバルとして注目されている。チームメイトから全面的に信頼されている翼は、点を取るストライカーとしてだけでなく、チームを見事に引っ張っていくキャプテンとしても有能な選手だといえよう。

                   

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